今日4月20日は730年に奈良薬師寺の東塔が建立された日とされています。
約1300年前に建造されたこの塔は、多くの地震や台風にも耐え、今日にその美しい姿を伝えています。さらに100年前後遡る7世紀には世界最古の木造建築と言われる法隆寺が建立されています。
世界の古い木造建築ベスト10は日本が独占しているとも言われ、高温多湿で木材が腐朽しやすく、地震や台風が多いこの国で、このように古い木造建築が保たれていることは驚異的です。
振り返れば、私たちの生活でも先人からいろいろと教えてもらえそうです。

木造の塔には地下からてっぺんまで貫く心柱(しんばしら)が通っています。この心柱を中心に建物がバラバラでありつつ一体であるという、柔軟な構造になっています。
地震時には各階がそれぞれジグザグに逆の方向にクネクネと動きながら揺れを吸収するそうです。また、心柱が振り子のような役割をして揺れを抑えるともされます。各階の木組みも精巧にされ、いろいろな工夫がされているようです。
今の高層建築と同じような制震機能があったのですね。
このように耐震技術がすごいのですが、それだけでは今日、私たちが東塔を見ることは出来なかったと思います。今日も変わらず存在するのは、お寺をはじめみんなが大切に守ってきたからだと思います。
高温多湿の日本では、油断すると木材はどんどん腐朽します。腐朽したり劣化したりしないように、毎日の清掃などの他、ちょっとした不具合を発見すればすぐに修理するなど、日頃のメンテナンスが耐震性の維持には大切です。
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2000年以降の最新の耐震基準の建物は大幅に耐震性がアップしているはずです。
でも、だからと言って安心していてはいけません。
しっかりメンテナンスを継続して初めて耐震性を維持できます。
木材の腐朽に関しては、24時間換気などの普及で良くなっていると思いますが、風通しを良くすることが大切と工務店の方に聞いたことがあります。
その方が我が家にいらした時、天井の隅のほうを見ながら「よく風を通して建物を大切にしていらっしゃいますね」とお話しになりました。聞けば「風を通していない家は天井の隅のほうが黒ずみやすい。そういう家は持ちが悪い」とのことでした。
マンションにお住まいの方も外周りや屋上の防水、鉄筋コンクリートの劣化など、注意することは多いかと思います。つい管理会社任せになってしまうかもしれませんが、いろいろと見えないところが多いだけに、時には住民たちで「建物を知り」「建物をチェックする」ことも大切かと思います。
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さて「頑丈な建物なら安心か?」との問いには、メンテナンスの他にも、家具を固定するとかいろいろと注意しなければ「命を落とした。頑丈な建物に住んでいたのに・・」ということになりかねません。これらについては、また別の機会に整理したいと思います。
建物も人付き合いも人生も・・風通しをよくしてゆきたいと思います。
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