多くの住民や自治会役員が思い浮かべる「避難所」とは、「地域防災拠点(指定避難所)」のことかと思います。
小中学校が割り当てられていることが多いですよね。
さて、そこで問題です。
Q. 小学校の学区の住民の人口は?
A. 横浜の場合1万人前後(地域差があります)
では第2問。
Q. 小学校の児童・教職員数は?
A. 数百人~千人位(これは多少ばらつきありますね)
さあ、本題。
我が家の近くの小学校は約600人の元気な児童と教職員で、普段でも満杯です。
今、烈震が起こりました。
想像してみてください。
もしも全住民1万人が避難所(小学校)に押し掛けたら、どうなりますか?
当然入りきれません。
大きな混乱が起こりそうです。
また、多くの住民は平素こう思っています。「災害になったら避難所に行けばいいや。水も食料も貰えるし・・」
でも、我が家の近くの小学校にある防災備蓄庫の食料は、クラッカーが240食分です。
また想像してみてください。
240食のクラッカーを求めて1万人が殺到する光景を・・
実際には、こんな極端な事にはならないと思います。
でも、住民の備えが充分でないなら、それに近い事態は起こりえます。
■想像できるようになるには、どうすれば?
では、再び想像してみてください。災害とは関係ない日常の一コマです。
ジリジリと暑い夏の日、コンビニの前を通りかかりました。猛烈に喉が渇いています。さあ、どうします?
今度は容易に想像できたのではないでしょうか?
コンビニの入口で自動ドアが開いて、店内を奥の方に進んで・・と、リアルな映像が一瞬で頭をよぎったことと思います。
一方で、さきに挙げたような災害時の光景は、住民にも自治会役員にも、なかなか想像できないのが実状です。
この違いはどこにあるのでしょうか? ここに、防災で想像できるようになるための具体的なヒントがあります。
想像できるようになれば、「なぜ1万人の住民が居るのに避難所の備蓄食は240食しかないの?」といった疑問も自然に解消すると思います。
■救援物資はすぐに来るか?
もう一つ、想像してみましょう。
東日本大震災ではピーク時の避難者数は約47万人。救援司令塔の東京は無事。
それでも2週間、救援物資が何ひとつ届かなかった避難所もあったと言われています。
物資が早めに届いた避難所にしても、最初のうちは 約500人が避難している避難所に おにぎり が130個とか・・
もし 3000万人が住む首都圏を広域災害が襲い、司令塔となる東京も被害を被った時、私たちの避難所に十分な救援が届くのはいつの日でしょう?
では、せめて住民全員分の3日間の食料を、行政が備蓄するとしたらどうなります?
用地を買収し、体育館のような巨大倉庫を建て、備蓄品を購入し、それを管理する人を雇い、空調を利かせ、毎年備蓄品を少しずつ入れ替え・・
いったい、いくらのお金が必要でしょうか? その額たるや・・
行政の財政事情は厳しいです。相当に増税でもしない限り、住民全員の水・食糧備蓄などできません。
行政におんぶにだっこではいけないのです。
こういったことを想像できるようになると、各家庭での備蓄の重要性を理解できるのではないでしょうか?
想像すればするほど、考えれば考えるほど、途方に暮れそうです・・
でもご安心ください。想像できれば、そして考えれば、改善策は見つかります。
激甚災害後、なぜ住民が避難所に殺到してしまうのか?
本当に避難所に避難しないといけない人は誰なのか?
であれば、どうすれば避難所に来る人数を減らせるのか?
例えば、平素の住民への周知活動や 自治会役員の準備で、避難所に来る人数を減らすことはできます。
さあ、ご一緒に想像し、考えてみませんか?
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