幽霊と科学 ~あなたは幽霊を信じますか? (1)

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私の経験したお話です。

もう40年近く前、学生の私は都内のボロくて薄暗い、古い木造アパートに住んでいました。

ある晩のことです。
寝ていた私は顔をピンタされて目が覚めました。
ピンタされた瞬間から目を開けるまでの一瞬に、いろいろなことを考えました。

「あれ、夕べ友人達とこの部屋で飲み会やったかな? 誰か悪ふざけしているのかな?」
でも、その夜の飲み会はなく、私一人のはずです。

そうすると、次に考えたのは恐ろしい二択です。
強盗か、バケモノか・・

恐怖で胸を締め付けられそうになりながら、とにかく明かりを点けようと焦りました。
昔のアパートは壁に照明のスイッチなど無く、電灯から下がった紐を引いて点けたり消したりします。
私はその紐を延長してあって、寝ている時は顔の上方に手を延ばせば、紐に手が届いて明かりを点けられます。

暗闇の中、寝ながら右手を上に伸ばし、必死でその紐を探しました。
でも、焦っているためか、なかなか紐が見つかりません。

その間、さらに恐ろしいことに、私は続けざまに往復ビンタを喰らい続けたのです。
右頬、左頬と何回も・・

私は気づきました。おかしいと・・

私は右手を顔の上に伸ばして必死に紐を探しています。
もし生身の強盗が私を往復ビンタをしているのなら、私の紐を探す右手がその強盗の腕なり顔なりにあたるはずです。
でも、右手は空を切り続け、その間も往復ビンタは続いています・・

「これは生身の人間ではない!バケモノだ!」
恐怖で私は張り裂けそうになりながら「ギャァー」と悲鳴を上げながら、がばっと立ち上がりました。

立ち上がった時、ようやく紐が顔に触れ、私は必死に両手で紐を引きました。
明かりが点くまでの一瞬の間、私は祈りました。
「どうか強盗であってくれ・・」

明かりが点きました。

強盗はおろか、ひとっこ一人いませんでした・・
瞬間的に天井の四隅を見回しました。幽霊かバケモノが張り付いているような気がしたのです。
・・・

ややあって、私は気づきました。
何が起こったか。

寝ている間に右腕が体の下になったのか、私の右手は痺れて自由が利かずブラブラでした。
寝返りをうって左に反転した時、しびれてブラブラになった右手が 自分で自分の頬を叩いたようです。
その後、必死に電灯の紐を探しましたが、思い通りに動いていたのは二の腕まで。ひじから先はブラブラ状態で、自分の頬を往復ビンタしていたようです。

今となっては笑い話ですが、その時は本当に怖かった・・

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ghost

さて、あなたは幽霊の存在を信じますか?

よく大学の科学者が「そういうのは全部ウソだ。何が起こったか全て科学的に説明できる!」と幽霊の存在を否定する方がいます。
大学の先生に限らず、理科系の大学教育を受けた人ほど、そう考える人の割合が多いようにも感じます。

実は私も大学で物理を学んだ一人です。学業の成績は悪かったのですが、一応、科学の基礎は学んだつもりです。
その科学の基礎から言うと、このような幽霊の全否定には違和感を覚えます。

確かに、幽霊体験談の中には、私のような経験や見間違え、説明がつく自然現象も数多くあると思います。
そして、世の中の大多数の人が納得している「幽霊が存在するという科学的・合理的な証明」はないと思います。
つまり、幽霊が存在すると科学的には証明されていないのです。

一方、逆の「幽霊は存在しないとの科学的・合理的な証明」もされていないのです。
ですから「幽霊は存在するのかしないのか、わからない」というのが科学的に正しい態度だと思っています。

もちろん、何を唱えようと、他人に悪影響を及ぼさなければ自由ですし、その自由は守られるべきです。
なので、幽霊は存在しないという主張も尊重しますし、批判もしません。
ただ、私の意見は違うということです。

この科学的に正しい態度、科学の話だけでなく、日常生活や防災でも大切だと思っています。

(その2)に続く


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