令和6年 能登半島地震 からの教訓 ≪自治会編≫ (その2)


1.災害直後、自治会の特に重要な役割は二つ!

前回(その1) では、災害直後に自治会に求められる役割の一つめとして、被害状況の把握について整理しました。
今回はもう一つの重要な役割として、住民への呼び掛けについて整理します。

2) 自治会の災害対策初動②:住民への呼び掛け

前回 1) では被害把握の重要性を記しましたが、発災直後のもう一つの重要な役割は住民への呼び掛けです。

災害時、残念ながら一般住民の中には適切な行動をとれない人も多い」と考えるべきです。

今回の能登半島地震では、津波危険地域の住民が声を掛け合って高台に逃げる等の適切な避難行動も見られました。
しかし一方で、避難しかけたのに「ブレーカーを落とす」と戻って津波に遭って死亡した例なども報道されています。

今回の能登半島地震でみられた住民行動の問題点として、
① 下敷きの危険があるのに、逃げずに大きな家具の前のテレビを押さえてしまう。
② 火災を眺めてしまい避難しない(下欄※参照)。
③ 倒壊家屋の下敷きの人を救出しようと119番したが消防も警察も手一杯。手をこまねくうちに火災に呑み込まれる。
④ 津波の危険があるのに逃げない。一度避難したのに戻って津波に呑まれる。

などがありましたが、これらはほんの一例とみられます。

※②火災を眺める危険性について
普段の火災では、火の粉が舞って飛んでも、離れたところにあるモルタル等耐火構造の家に飛び火することは、あまりありません。
しかし地震直後では、耐火構造の家でも窓ガラスが割れていたりします。割れた窓から火の粉が飛び込んで、そこに紙でもあれば、離れた家でも突然に簡単に燃え上がります。
火災を眺めていると、人は目の前の火災に目が釘付けになってしまいます。このため、背後の家に飛び火しても気付かず、気が付いた時には火に取り囲まれて逃げ場を失うことになります。
初期消火がまずは大切ですが、消せなかった時は、すぐに離れる避難が重要です。
でも、一般住民は、なかなかこのことを知りません。阪神淡路大震災でも多くの方が火事を眺めてしまいました。

では、自治会・町内会はどうするべきでしょうか?

たとえ住民が適切な行動を取れていなかったとしても、誰かが促せば、多くの人は適切な行動をとれるはずです。
東日本大震災でも小中学生がとっさに高台に駆け上がる率先避難を見て、多くの大人が追随して避難しています。


災害直後に「住民に適切な行動を呼びかけること」自治会の重要な使命です。

呼びかける内容は、その時の状況に応じて4つ。
・お互いの安否確認
・救出 (倒壊・崩壊家屋や倒れた家具の下敷き)
・初期消火
・避難(火災や津波、土砂崩れなどの危険がある時)

なお、家屋が倒壊してしまった住民や不安に駆られた住民は、呼びかけられずとも避難所に向かうと思います。
しかし、避難所がいつも安全とは限りません。
火災や津波、土砂災害など、その時の状況により異なりますが、多くの住民は状況を考慮せずに固定観念で特定の避難所に向う傾向があります(津波の危険があるのに低地の学校に向ってしまうなど)。
このため、避難するにしても状況に応じた安全な避難を促すように呼び掛けるのも自治会の役割です。

次回は(その3)として、自治会の情報発信の重要性を考えます。

令和6年(2024年)能登半島地震からの教訓
(その1)「災害直後の自治会の役割①:被害の把握」へ
(その2)「災害直後の自治会の役割②:住民への呼び掛け」へ
(その3)「災害直後の自治会の役割③:情報発信」へ
     「能登半島地震からの教訓:住民編」へ


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